40代、貯金額はどれくらいが理想?

40代、貯金額はどれくらいが理想?

40代になると、老後を意識しはじめる方もいます。しかし、老後に備えて貯えをしておきたくても、40代は子どもの進学資金や住宅資金などの出費もまだ多いことが一般的です。「今の貯金スタイルでいいのか」「どれぐらいの貯金があれば大丈夫だろう」など、不安に感じているかもしれません。

そこで、今回は40代でこれから貯金をしていきたい方に向けて、「40代の平均貯金額」「老後のために必要な貯金額の目安」「賢く貯金をする方法」について説明します。

単身者と夫婦の場合を比較

自分と同年代の人たちがどれくらい貯金をしているか、気になる方も多いでしょう。しかし、単身世帯と夫婦世帯では、世帯収入やお金の使い方が異なる場合が多いため、簡単に比較することはできません。

ここでは単身世帯と夫婦世帯に分けて、平均貯金額を確認します。

単身世帯

金融広報中央委員会が実施した「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和3年)」によると、2021年度における40代単身者の平均貯金額は300万円です。また、金融資産を保有している40代単身世帯は64.3%で、生命保険や投資信託などほかの金融資産も含めた全体保有額の平均額(※1)は818万円、中央値(※2)は92万円です。

※1合計した金額を人数で割った金額
※2昇順もしくは降順に並べた際の中央の数値
なお、全体保有額の平均額818万円のうち、金融資産のみの平均額は518万円で、預貯金に対して約1.7倍も多くなっています。

40代単身世帯の男女別でも、平均貯金額を見てみましょう。少し古い数値ではありますが、総務省統計局「平成26年全国消費実態調査」によると、男性の平均貯金額は535万7,080円、女性の平均貯金額は630万630円で、それぞれの内訳は以下です。

定期預金 定期預金以外の預貯金
男性 300万8,880円 234万8,200円
女性 365万3,790円 264万6,840円

出所:総務省統計局「平成26年全国消費実態調査」をもとに算出

夫婦世帯

同委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」によると、2021年度における40代の二人以上世帯の平均貯金額は406万円です。その他の金融資産も含めた全体保有額の平均は916万円、中央値は300万円という結果が出ています。

40代夫婦世帯の金融資産保有の割合は75.2%で、単身世帯と比較すると平均貯金額は106万円高く 、全体保有額の平均は98万円高いことがわかります。

自分と同年代の方々が保有する平均貯金額を見て、安心された方もいるかもしれません。しかし、ここで注意しなければならないのは、紹介したデータの平均額は「金融資産を保有していない世帯を含む」という点です。

「貯蓄がない」世帯も含めた統計は、極端値(貯蓄ゼロ)に引っ張られて平均値が低くなります。つまり、紹介した平均貯金額よりもはるかに多くの資産を保有されている方も多いということです。

特に夫婦世帯の場合、子どもの教育費や住宅ローンなど資金が必要な場面が生じやすいため、将来の安定性を高めるには、金融資産の保有が不可欠といえます。平均貯金額を見て安心するのではなく、次の章で紹介する老後に必要な金額を参考に、老後も安心して暮らせる金額を貯金していきましょう。

老後に備えて、どれくらい貯金すればいい?試算フローを紹介

老後に備えてどれくらい貯金をしておけばいいのか、不安に感じている方は多いかもしれません。具体的なプランニングの前に、老後はどれくらいのお金が必要になるのかを試算してみましょう。

今回は、夫婦で老後を迎えるケースを想定し、解説します。

1.退職後の出費を見積もる

老後にどれくらいの生活費が必要になるのか、40代でイメージするのは難しいかもしれません。しかし、現在の生活費をベースに、老後に備える貯金額を概算することはできます。

定年を迎える頃に子どもが独立しているのであれば、教育費などの出費はなくなるでしょう。その場合、老後はその分を生活費にあてられるので余裕は出るかもしれません。老後も子どもが独立していない場合には、その後にかかる教育費などを含めて計算が必要です。

また、子どもの結婚や出産などの際、資金援助をしたいと思えば、それらも用意する必要があります。自宅のメンテナンス費用や、家具・家電製品、自動車の買替えなど、生活費以外の出費が発生する点にも注意しましょう。家族旅行や趣味に費やすお金も必要なはずです。

上記を踏まえて、これらの「生活費以外の出費」を年額で見積もったら、毎月どれくらいの出費になるのかを計算しましょう。算出した金額を老後の生活費にプラスすれば、老後にかかる毎月の出費を把握できます。

2.年金など退職後に入ってくるお金を把握する

次に、退職金や年金など、退職後に入ってくることが見込めるお金を計算していきます。退職金は、勤務先の退職金規程で確認できますが、総務担当者に直接聞いてみることも可能です。最近では、退職金制度として確定拠出年金を利用している会社もあるので、自社の退職金制度について確認しておくとよいでしょう。

公的年金は、毎年の誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」で確認する方法もありますが、日本年金機構が提供している「ねんきんネット」での定期的な確認をおすすめします。「ねんきん定期便」では、公的年金の加入歴に基づく「現時点での将来の年金受給見込み額」しか記載されていないためです。

「ねんきんネット」を利用すると、60歳まで保険料を納めた場合や、今後の昇給などを見込んだ年金額の変化、退職して国民年金に切り替えた場合など、条件を変えながら将来の年金額をシミュレーションできます。
公的年金は、老後生活のおもな収入源になるので、見込み額を確認しておくことが大切です。

3.理想の貯金額を計算する

最初に確認した1ヵ月に必要な生活費から、老後生活に必要な金額を計算してみましょう。「老後生活が何年間続くか」は人それぞれですが、長寿化が進んでいるので、見積もりの期間は長めに設定することをおすすめします。

「公益財団法人 生命保険文化センター」の調査データを用いて、老後の理想的な貯金額を計算してみましょう。調査によると、夫婦で最低限の生活をするには月額平均22万1,000円、ゆとりのある生活をするには平均36万1,000円が必要という結果が出ています。

65歳での退職を想定して、90歳まで夫婦二人で生活する場合の理想的な生活費は、以下のとおりです。

最低限の生活:6,630万円(22万1,000円×12ヵ月×25年間)
ゆとりのある生活:1億830万円(36万1,000円×12ヵ月×25年間)

このようにして算出された金額が、理想的な老後生活資金(貯金)額です。老後に向けて準備する貯金は、この理想的な老後生活資金から、退職金や年金などの退職後に入ってくる見込み額を引いて計算します。年金受給見込み額、退職金として期待できる金額などをご自身に当てはめて計算してみてください。

40代が賢く貯金する方法を3つ紹介

老後生活には、多くのお金が必要になることをご理解いただけたでしょうか。ここでは、老後に向けた貯金のポイントを紹介します。

現状を把握して無駄な支出をなくす

貯金をするうえで重要なのは、現在の収入と支出の状況を把握することです。共働き世帯ではお互いの収入をオープンにして、世帯全体の収入を確認することをおすすめします。家計簿をつけて支出管理をしてみると、食費・雑費などの無駄遣いや使途不明金が見つかるかもしれません。

スマートフォンの家計簿アプリや、エクセルなどの表計算ソフトを使った自作の家計簿でも構わないので、家計簿をつける習慣をつけ、食費・雑費などの無駄遣い削減や使途不明金の解消に努めましょう。

保険など、固定費の見直し

毎月一定額を支払う固定費の見直しは、節約効果が期待できます。特に保険は、加入したまま見直さない人も多く、ニーズの合わなくなった保障に対する保険料を払い続けていることがあります。

また、公的保障でカバーされる保障と加入内容が重複し、その分の保険料を支払っている可能性もあるので、加入している保険内容を見直してみましょう。併せて、電気料金や通信料金の契約見直しも検討することをおすすめします。

先取り貯金をする

「先取り貯金」とは、毎月の収入から貯金にまわすお金を先に差し引き、残ったお金で生活することです。子どもの教育費なども含めて40代世帯は出費が多くなる傾向があり、貯金にまわすお金が残らない方も少なくありません。

しかし、先に貯金分を差し引いておけば、自然に貯金ができるうえに残りのお金で生活するため、使いすぎを防げます。

40代が貯金を増やす方法~資産運用・投資がおすすめ~

40代になると、20~30代のときと比べて収入が増え、お金に多少の余裕が出てくる人もいます。

また、定年まで20年近くあり、時間的な余裕もあるので、40代での資産運用はおすすめです。実際に、40代では預貯金以外に株式や投資信託などの投資商品を保有している方が増えています。

日本証券業協会の「2021年度(令和3年)証券投資に関する全国調査(個人調査)」によると、男性の株式保有率は30代前半で11.9%、30代後半で15.3%という結果でした。一方、40代前半では17%、40代後半では21.4%となり、30代の保有率と比べると約10年で5%以上アップしていることがわかります。

また、女性の株式保有率については、30代前半が7.5%、30代後半が7.2%、40代前半が7.8%と、30代前半から40代前半までは大差がないものの、40代後半は10.3%と上昇しています。

投資信託の保有率では、男性は30代前半で11.0%、30代後半で13.7%、40代前半で12.4%、40代後半で12.7%です。30代後半からは一度減少したものの、40代前半から後半にかけては微増しています。

女性の投資信託保有率は、30代前半が8.5%、30代後半が7.8%、40代前半が11.2%、40代後半が8.9%と増減が見えますが、30代と40代をそれぞれ平均すると40代のほうが数値は高めです。

40代男女の投資商品保有率は、30代よりもやや高い傾向にあるといえます。

目的を明確にしておく

資産運用・投資をはじめる際は、「資産を増やすための目的」をあらかじめ具体的に決めておくことが大切です。

前述した日本証券業協会の同調査によると、40代男女が金融商品を保有するおもな目的は、以下の3つとされています。

1)将来・老後の生活資金:70%前後
2)将来の不測の事態への備え:30~40%
3)子どもや孫の教育資金:50~60%

上記のように、「将来・老後の生活資金」「子どもや孫の教育資金」など目的を明確にすれば、目標金額を設定しやすくなります。

なお、リスクを抑えながら資産運用・投資を実行するには中長期的な運用が望ましいため、2~3年程度の短期の運用は避けましょう。

「長期・分散・積立」を意識する

資産運用・投資の安定性を高めるには、「長期・分散・積立」を意識した運用が重要です。次の3つについて、それぞれ解説します。

①長期

金融商品を長く保有してじっくりと資産形成をすることで、リターンの振れ幅を平均化できます。また、長期投資を行えば、短期投資のように値動きをチェックする回数を減らせます。

②分散

複数の種類・地域の金融商品を組み合わせれば、1つの金融商品が値下がりした場合のリスクを回避しやすくなります。例えば、複数種類の金融商品を組み合わせる場合、「投資信託+債券」のように、特徴の異なる金融商品をポートフォリオに組み込むのがコツです。
また、複数地域の金融商品を組み合わせる場合は、日本の投資信託に加えて、海外の投資信託も同時に運用しておくなどすると、バランスの取れた資産運用・投資につながります。

③積立

自分で決めた金額・タイミングで定期的に金融商品を購入すれば、細かな値動きに左右されることなく運用できます。特にメリットといえるのは、定期的な積み立てを続けることで、価格が安いときは購入数量が増え、価格が高いときは購入数量が減る点です。
結果的に購入単価の平均を下げやすくなり、一括購入するよりも購入単価が抑えられる傾向にあります。そのため、資産運用や投資にあまり慣れていないという方でも、安心して運用しやすいでしょう。
貯金とのバランスを考慮する
ライフイベントの資金や住宅ローンの支払いなどは貯金でまかなえるように、「資産運用・投資に回すお金」と「貯金するお金」のバランスを取ることが大切です。

銀行預金の場合は、元本1,000万円+利息分が預金保険の対象ですが、投資商品の場合は元本を割り込むおそれがありますので、注意が必要です。

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